『イクメン』という言葉の暴走
イクメンという言葉はめちゃくちゃ有害です
先に書いたように僕はほとんどの新米パパは母親代わりはムリだと諦めるところから始めたほうがいいと感じている。
しかしそれを難しくしているのに『イクメン』という悪魔のワードがある。
僕は男性が育休を取ってみて強く感じるのはこの『イクメン』という言葉は相当厄介だということ。
理想の父親像を考えるなら、育児という一部の役割だけでなく、家族全体を支えるという目線が重要だということに異論を持つ人は少ないと思います。
しかし、イクメンという言葉は新しく父親になった男性を育児という枠に閉じ込め、母親代わりになることを求めます。
実際に僕が育休を取ったあとにはほとんどと言っていいほど、「オムツは替えたか」、「ミルクはあげたか」、「お風呂はいれたか」といった子どもの世話のことしか聞かれませんでした。
男性育休経験者なら無限にかけられる言葉。
「ちゃんとイクメンできた~?」
男性育休を推進するサイトを見ても盛んにイクメンという言葉が使われています。
これでは頭がイクメンに汚染されたたくさんの生贄たちが送り出されてしまいます。
イクメン脳な男性が世に放たれると起こること
イクメン脳な男性が世に放たれるときっとこんなことがたくさん起きます。
役に立たずに厄介者扱い
行き場を失って意味もなくひとりお出かけ
プライドを捨てられずいきり立つ
実際ママのほうもイクメン脳に支配されていると、役に立たない旦那に失望することになります。
ただ失望するだけなら良いですが、ガルガル期の奥さんがただガッカリするだけで済ましてくれるとは到底思えません。
夫が育休を取った妻が「こんなのなら働いてほしかった」というような不満を漏らしている記事もたびたび出ていますが、これも育休が母親代わりになるかを試す試験のようになっていて、あえなく討ち死にしただけのように見えてしまいます。
これがイクメンという悪魔ワードの仕業です。
僕はこんなことが世の中にたくさん起きているならイクメンという言葉を使わないほうがよほどいいと思っています。
家の中のことは育児だけじゃなくて家事もあります。
家事以外にも父親として果たすべき役割はたくさんあります。
でもイクメンという言葉は育児にしか目を向けさせません。
そもそも新生児の時期に男性ができる育児はそう多くないのです。
新生児はおっぱいを飲んで寝るの繰り返しであり、生活の中心はおっぱいです。
いくら男女平等を叫んでみたところで男性におっぱいは出せません。
男女平等が行き過ぎて「だったらミルクにすればいいじゃない」という人がいたらさすがに本末転倒だと思いますので特に僕から言うことはありませんが、こと母乳で育児するとなるとおっぱいから寝かしつけという根幹の部分でパパにできることはほとんどないのです。
そうではなく、夫として果たしていく役割が父親として適したものであるかどうかを妻と協力しながら確認していくのが男性育休の意味なのではないかと考えています。
僕の失敗談
実際に僕も夜中に眠い目をこすって起きてみたもののできることがなく、意味もなくきちんとおっぱいを吸えているのか確認するために近づいていって「邪魔!」と妻に怒鳴られてしまいました。
そして妻は「そんなんでやった気にならないでよ」と言いました。
もちろん新生児でもオムツ交換や沐浴などパパにもできることはあります。
しかし生活の中心はおっぱいと睡眠であり、あくまでパパができることは補助的な部分でしかないことを自覚すべきだと思います。
僕が育休に入る直前に職場の挨拶回りをしていたときに、育児経験のあるママさんたちからよくこんなことを言われました。
ただでさえ赤ちゃんの世話で手一杯なのに旦那の世話をするのはイヤだ。くれぐれもママの邪魔にならないようにね☆
非常に含蓄のある言葉です。
育児経験者のママは男性はやる気があろうがなかろうが大して育児の役に立たないことを知っているのでしょう。
つまり、役に立たないばかりか世話をしなくてはならない対象になるくらいならいないほうがいいという考えなわけです。
実際に自分の妻にとってもほとんどできることもないのに赤ちゃんの世話に出しゃばってきてやった気になっているのは不快でしかなかったようです。
少し前に話題になった、育休を取っても何もしない夫の問題点を指摘した『取るだけ育休』問題がありましたが、男性育休議論が男性を過剰に育児へと駆り立て、そして役に立たずに行き場を失って途方に暮れたという可能性は大いにあると思います。
本人も周りもイクメン脳に侵されている上に、男性育休を強制的に取らせたりするとまさにこういったことが起きることは想像に難くありません。
もちろん男性でも育児をバッチリできる人もいると思いますが、妻が満足できるレベルではできない人のほうが多いと思います。
少なくとも僕はママ代わりどころかジャマになっていました
そういった場合に育児だけに閉じ込めるのではなく、妻のサポートをするという選択肢があるのとないのとではだいぶ違います。
そして実際新生児のことは自信がなくても、妻のサポートならまだなんとかできるかもと思える男性は少なくないと思います。
育児専念脳の最大の弊害はこういう芽を詰んでしまうこと、そして育児ができなかったときに行き場をなくすこと、そしてそういう人を糾弾することです。
育児専念脳こそ男性育休を阻む本質的な問題点です。
イクメンよりカジメン
僕はイクメンよりもカジメン、つまり家事をメインにやったほうがいいと思います。
特に新生児育児の時期は。
家の中の仕事には育児と家事の2つがありますが、育児はママ、家事はパパがメインで分担するのをおすすめしています。
ちなみに僕のブログで先輩ママに聞いたところ、9割のママがこの分担案に賛同してくれました。
根底にあるのは妻のサポート
ここで育児はママ、家事はパパがメインと書きましたが、これは
ママのサポート=パパ
という分担でやろうぜ!という意味に他なりません。
もちろん明確に片方しかやらない!というわけではなく、あくまでどちらが主体でやるかという話です。
この考え方に9割の先輩ママたちは賛成してくれたわけです。
ほとんどのママは我が子のことばかり考えている
僕が知っている範囲ではほとんどのママは生まれたての我が子のことばかり考えていて、残念ながらパパのことはそっちのけになるようです。
いや恐らく自分のことすらそっちのけになっています。
まさに僕の場合がそうでしたが、そんな中パパが子どもの世話にでしゃばっていくと
ぶっちゃけちょっとジャマ・・
ましてクオリティが低いと
死ねよ・・
こんなことになりかねないわけです。
そして物理的にも男性におっぱいは出ないし、新生児の表情を読み取ることも苦手・・
それならいっそ赤ちゃんの世話はママに任せて、ママをサポートしていこう!
というのが僕の考えです。
家事というのは主に掃除・洗濯・料理がメインです。
このどれもパパとママお互いのお世話なんです。
しかもどれも動き回らないといけない。
それなら産後ボロボロの身体で大人の世話をやらせるのではなく、パパがそれをやっていこう!という考え方です。
これも”イクメン、イクメン”で頭が支配されているとこんな考えは出てこないはずです。
新米パパよ!カジメンを目指せ!!
カジメンのメリット
カジメンを目指すことは実は大きな隠れたメリットがあります。
それは家事スキルというのは育児スキルとは違って育休後にも、いや死ぬまで使えるスキルだという点です。
新生児育児におけるスキルにはオムツ替え、沐浴、ミルクといったものが代表的ですが、実はそのいずれも長くても数年経てば使わなくなるスキルばかりです。
反面、料理や掃除というスキルは生きている限りなくなることはありません。
子どもが大きくなったときに、料理のスキルとオムツ替えのスキルのどちらが重宝されるかは火を見るより明らかでしょう。
僕は昨今の男性育休議論の大きな問題点として、育休を取ることが目的になっていて育休後へのつなぎ方にほとんど言及していないという点があると考えています。
ここでもイクメンよりもカジメンのほうが育休後まで見据えた選択だということはおわかりいただけるのではないでしょうか。
育休に限らず時限的な取り組みには出口戦略というものが非常に重要です。
つまり、男性育休を次の人生にどうつなげていくのかという点が現代の男性育休議論ではおろそかになっているのです。
前述の通り、現代の男性育休議論で男性を過剰な育児に駆り立て、大して役にも立たず、結果として「大変な妻の気持ちがわかってよかった」という感想程度では出口戦略として不十分だと言わざるを得ません。
”男性育休=イクメン=子どもの世話”と短絡的な思考になるのではなく、もっと長期的な目線で家族のためになることを考えていきましょう。
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